黒猫ばぁばの好きなことだけ

甘味と文具とひとり言

紫陽花色のこんぺい糖

f:id:kuroneko-ba-ba:20190715183145j:image

 

朝早く、まだ空がうっすらと白む頃

雨の音で目が覚めました。

 

いつもは朝一番には 白湯をいただく

のですが、灰色がかった空に

私の頭もぼんやりしていて

 

温かいカフェオレを淹れて

身体を目覚めさせようかと思ったのです

が、角砂糖を入れている陶器の蓋を

開けるとひとつも入っていません。

 

買い足すのをすっかり忘れていたのです

 

あとはお料理に使っているてんさい糖

位しかありません。

 

 

その時、数日前に近所の駄菓子屋で

買った金平糖を思い出しました。

 

子供の頃に食べた物は

その美味しさも、色も匂いも

幸せな食卓の空気も

 

全てが色濃く鮮明に美しく

何十年経っても残り続けるものです

 

その懐かしい金平糖を手に取り

「これもお砂糖よね、試しに

カフェオレに入れてみよう!」と

思い立ちました。

 

 

窓ぎわの小さなテーブルに

熱々のカフェオレとティースプーン

藤色と桜色の金平糖

それぞれふたつずつ

 

群青の塗りのマグカップの中で

紫陽花の花びらが

カフェオレの渦に溶けるように

消えていきました。

 

 

普段より特別なカフェオレに

ワクワクしながら、

静かに雨音に耳を澄ませた

優しい朝でした。